黒い唐黍女/構造
肌の繊維は黍ほどに荒い
かの女の
黒味がかった糖蜜に
ぷんとかおるのは汗だけでなく
ぼくをからかう意思だとか
淫蕩にみちた態度だとか
何しろ ここはゆるい斜面だ
相変わらずの屠殺と
太陽にみちた丘
乾いた空気にもかかわらず
ぼくは泉になる
決してあふれず
流れもしない
つまり殺伐め、ぼくを騙す気だ
波乱と転落を掠め取られて
おれはすっかりと湧き出るそばから
片っ端から乾いていく
摘み取られた人参
ぶらさがった星と貝殻
肌の粗いあのおんなには
ひどくでっかいくちびると
ぶどうの粕取り焼酎がついてくる
酔えば酔うほど醒めるのは
湧けば湧くほど乾くのは
すっかり糖蜜に塗れたからだ
ぷんと女が香っていくと
ぼくは転がり上がってく
かのなだらかな山肌を
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