震える /tibet
猫来るな
猫来るな
猫こっち来るな
ああ嫌だ
こいつはこうやって
私の側にさえ来れば
その美しい漆黒の毛並みを
私が撫でないわけにはいかない事を
知っているんだ
どんなにやわらかいビロードだって
今はこの手が敏感すぎるから
触りたくないんだよ
私はね
お前がこんなに小さいところから
一時も離れずに面倒を見てきたんだ
始めはただの黒い
いや無色の点だった
そうだったね
お前は覚えているだろう
まったく冷たい暗闇と
微かに震えるか震えないかの
僅かな音の波の中で芽生えた生が
どうにかして光と結びついて
今こうしてここにあるという
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