大旱/楢山孝介
 
長い間雨が降らないので
涸れた池がある
長い間話さないので
枯れた声がある
長い間誰とも会わないので
忘れられた人がいる
長い間続きを思いつかないので
書き終えられない詩がある

雨が降れば
声を出せば
誰かと会えば
続きを思いつけば
すぐに元に戻るものもある

しかし、取り返しのつかない
埋めようもない空白もある

いつまでも雨が降らないこともある
戻る   Point(9)