森/サナギ
 

そこを離れた

どんどん歩いていると
頬に何かが流れた
なみだ、だ
俺はびっくりしたがどうにも止まらず
そのまま流れるにまかせ
しまいには盛大に嗚咽しながら歩いた

その暗い森にいる間中
俺は
泣きながら歩きながら泣いていた

その間中
何故だか知らないが
背中の墓標が妙に軽かった

やがて涙も涸れた頃
森を抜け出ていた
後ろを振り返ったが

何もない

何だったんだろうか

分からないが
涙が必要な時もあるってことだろう




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