森/サナギ
気がついたら
目の前に森があった
そうとうぼんやり歩いていたらしいが
もしかしたら忽然と姿を現したってやつかもな
とにかく入ってみる
ほとんど光の入ってこない
真っ暗な森だった
地面はじめじめとして
霧が立ち込め
なんか怪しいものが出そうだ
木の根元を見ると
小さな鳥がいるが
みな息絶えている
森の奥の方から歌声が聴こえてきた
か細く震える少女の声だ
子守唄のようだ
しかしなんとも物悲しい
しばらく歩くが
木の他には何もない
歌は続いている
やがて巨木の前に出た
歌はそこから聞こえてくるらしい
あまりいい感じじゃなかったから
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