花園/三条麗菜
でも
あなたと出逢ったその時から
一匹の蝶が舞っているのです
それは何本もの黄色い帯模様と
赤い目玉の模様を持った
とてもとても
美しいアゲハです
色彩を忘れてしまった
広大な花園の上を
風に流されるように
蝶が舞っています
ひらひら
ひらひら
それは気まぐれで
今にも風の向こうに
消えてしまいそう
ひらひら
ひらひら
私の中のどこでもいいから
色彩を思い出して
それが花であると
それが花であると
あの蝶に教えて下さい
そして蜜を
残らず吸ってもらいましょう
私の体の
どこでもいいから
それが花であることを
靉光の絵画「花園」より着想
戻る 編 削 Point(10)