さよなら/yoshi
遠くの月が淡く光を放ち
少し風の強い街の中を
一人歩いた
僕はもう
この街をあとにして
君のいない街に行かなくてはならないよ
さっきの君の涙に
しばらくは縛られて
身動きが出来なくなった心を
持て余してしまうんだろう
そんな事を思いながら
散りかけた桜の木を見上げた
僕の気持ちを
なじった君は
でも
どうにもならない事をどこかで知っていて
最後には
じゃあね
と言った
僕は
君の決意が見えた気がして
じゃあね
と繰り返す
涙がつたった君の頬に
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