あぁ/
恋月 ぴの
朝刊から目を離さずに
気の無い空返事
それは。あなたの得意技
わたしが何を考えていようとも
お構いなし
空気のような存在
親しすぎる関係の果てに待ち受けるのは
そんな空虚さだって
何となく判ってはいたけれど
あの頃の晴れやかな青空が恋しい
こころの奥底に導かれるままに
春の兆しを身に装えば
わざと外した指輪の重さだけ
軽やかに弾む胸元
水たまりに映る裾先は
待ちかねた危うい気紛れを誘い
匂い立つ。その闇にまで触れて欲しくて
あぁ。
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