母には出せぬ母への手紙/さくらほ
 
嫌うしかなかった
感情を殺しきれず
自分を殺しきれず
ただ生き続けていた日々
抱きしめてほしい
子供のまま大人になった
それでも母がいたから生きてこられた
奥底で知っているから
今でも求めている


私自身が母になり
母というものを知った
母を許す
いや違う
母を少し理解できた気がした
母を片目でしか
見ていなかった私
満ち足りるほどは無かったけれど
確かに愛はあった



わたしより仕事を取ったその母が
仕事より体大切しろと言う
いつのまにか
孫よりも足遅くなりて 
トコトコ歩く母が私の心配をする

ありがとう
その字のごとく
有り難く
それ以上の言葉
思い浮かばない
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