酔桜/
終
ビニール傘さしてぼんやりと空をみあげてた。
ぽたぽた落ちる雫、ひとつひとつに混じって白い絵の具の水玉模様が描かれていく。
-たったそれだけの時間。
一人で酔い冷まししながら見上げる真夜中。
飽きるぐらいの静けさ。
手にしたお茶缶の熱も湯気を立てることも無く。
ゆっくりと春が過ぎていく。
始まりも終わりもさほど変わることはないのかもしれない。
-唯、桜の間に。
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