「あちらこちらで」/プテラノドン
こと。
その土地に漂う、絶対致死の、ありふれた匿名の、
モザイク模様の、土地を駆け巡る
取り締まり不可能な車の両輪のなすための、
もう片方の車輪である存在を、見るだけ見ることを。
それは決して触れ合うことなきパートナー。
とるにたらない思い出とか、たとえ誰かにとっては
真実かもしれないが、対象によっては、
単なる事実にしかならない。それでいて
君にふりかかりもする、活字になりもしない
ひっこんだ歴史の事の顛末を、目くじらを立てずに見届けることが。
そのあとで、(囁き声で)あちらこちらで語られる
持ち運びしやすいように細分化された歯車を
(時間ももれなく)どこかに記しておくこと。のみならず、
タクシーの運転手や、酒場か何処かで知り合った
酔っ払った連中がいう馬鹿げた口車にも乗ってやること、
それを君が望む相手にカフェかラウンジで伝えること。
これらを含めた数々の断片のなかにも、そしらぬ顔の
異国のコインがあること。そしてコインの形をした
自分自身に触れること。そこにはいくらか垢が
たまっているだろうから。
戻る 編 削 Point(5)