夕凪の/
山中 烏流
無感情を装った
あの背景を
黒く塗りつぶしたところで
そこに
意味は生まれない
ねぇ
空の向こうに
行こうよ
伸ばした手の先に
望んでいた
夕凪の薫り
飛び立つ何かに向かって
感情を吐き散らす
空が黒い
朱も蒼も無く
ただ
何故だったか
覚えてすらいない
ねぇ
一緒に
空へ
繋いだ手からは
夕凪の薫りは
して
居ない。
戻る
編
削
Point
(2)