夕凪の/山中 烏流
 
 
 
無感情を装った
あの背景を
黒く塗りつぶしたところで
そこに
意味は生まれない
 
 
 
ねぇ
空の向こうに
 
行こうよ
 
 
 
伸ばした手の先に
望んでいた
夕凪の薫り
 
飛び立つ何かに向かって
感情を吐き散らす
 
 
空が黒い
朱も蒼も無く
ただ
 
何故だったか
覚えてすらいない
 
 
 
ねぇ
一緒に
 
空へ
 
 
 
繋いだ手からは
夕凪の薫りは
 
して
居ない。
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