一番星は二度落ちる/虹村 凌
 
星をばら撒く必要も無い

綺麗に皺を伸ばして
箱の隅にぴったりとくっつくように
綺麗に折り目をつけておく
夜はすぽんと箱の中に納まって
小さな箱は宝箱みたいに光っていた

がしゃん されないように
気をつけてテーブルの上に置いておく
明日の朝一番でこいつを送ろう
要らなかったら捨ててくれ
夜を取り出して空に投げてくれ


白夜が続いたある夕方
影が長く長く伸びて
手を伸ばして家のドアをノックする
急に空が冷たくなって
嗅いだ事のある匂い
空一面が青黒くなった

がしゃん


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