駅前にて/黒田人柱
駅には
西口と東口があるけれど
どっちに行けばいいの
陽が昇るのは東だけれど
どっちに行けばいいの
僕たち迷子だ
生まれたときから
古い月を見ている
古い星を見ている
光の速さで
僕は生きられない
たとえばあの日の君の言葉が
頭の中を漂うのに
もう二度とあの瞬間には触れることができない
見ているだけ
漂っているのに
あの月のように
あの星のように
西口と東口があって
太陽は東から昇って
それなら僕は何処へ行けばいいのだ
見ているだけ
見ているだけ
光の速さで僕は生きられない
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