季節にとかして/たりぽん(大理 奔)
ときめかせて
はなびらを解き放ち
冬別れの樹、予感
北風までもが人肌の温度
その飛ばす先の青空
気まぐれな季節は
いつも、ふいに帰ってくる
季節のない海の深みに
還っていくその前に
予感、の合鍵で開くむねのとびら
奥で内燃する
すべての色を隠す虹
とかしたいものがあるのです
とかしたいものがあるのです
家々の間の路地から
騙し絵のように移ろうあなた
電信柱に区切られながら
流れていくだけの
風景だから
いつでもわたしは
出会える
春は夏にとかされたいでしょうか
はなびらを沖に流した波も
黄砂に押し戻されて
気まぐれな季節は、いつも
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