さだめ/松本 卓也
もし明日のある時唐突に
心臓が停止したとして
その瞬間を笑って過ごせるかな
帰り道で見た交通事故
ニュースで見た訃報
新聞を賑わす殺人事件
生まれた瞬間に
どんな風に死ぬかが
もう決まっているとしよう
足掻いた末に縋りつく生き方も
諦めて閉ざした未来さえも
気にしないふりをして笑う今も
初春に舞う蝶の羽音
早起きした蝉の鳴き声
澄んだ川を濁すコンクリート
目に見えたもの全てが
例えば明日を境に
見えなくなるとして
どうして生きているのかなんて
問いの回数を重ねるごとに
見失っていくだけなのに
求められる事もあれば
捨てられる事
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