人形/霜月 ゆうゆう
 
「アイシテル」
ボクは君に囁く

君はただの人形なのに・・・

ボクと君
いつも一緒だった

これからも
ずっと一緒だと思っていた・・・

時を重ねる度
君は汚れていった・・・

洗っても
落ちることの無いその汚れは

ボクの気持ちがつけたモノ

そんなことも知らないまま
ボクは深い眠りに付いた・・・

眼を開くと
そこに君は居ない・・・

動くことの無い
ボクの体はニンギョウのようだった・・・

そう、ニンギョウはボクの方だった

埃で汚れ、汚くなったボクは
彼女に捨てられたんだ

薄れていく意識の中で
ボクは呟いた

「素敵な夢をありがとう」

流れない涙と共に
ボクの心は消えていった・・・
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