丘を登る歌に急かされて私は喧騒さえ後ろ手にする/藤原有絵
きる事が光に繋がると信じていられる
神様
いませんよね
いなくていいです
酔っぱらって上機嫌な人も
耳障りな笑い声あげる女の子たちも
やがて愛するホームブランドへ
私はそれらを後ろ手に
身体で春をつかみ取ります
屈折した光のなかに
色々な色がある事を
学んだ日を記憶から引きずりだして
たまには強引に納得しながら
私は自転車を漕いでいます
私の為に
私にも等しく訪れるはずの春を思って
脆弱でも
強靭にでも
時に軽やかに演じてみせます
私は
私の苦痛を言い訳に
この春を逃すなんて
本当に厭なんです
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