耳鳴りの海に身を漂わせて/はじめ
 
 耳鳴りの海に身を漂わせて
 僕はコーラルグリーンの空を眺めながら椰子の木だけがなった小島を離れていく
 ブルシアンブルーの鯨が潮を吹いて巨大な虹が出来上がった 僕はその鯨の隣を通り過ぎていく
 空はいつまでも穏やかなまま綿菓子みたいな雲がたくさん浮かんでいる 雨が降ってきたら甘い雨が降ってきそうだ
 耳の奥はずっとキーン という音が鳴っているが 服は海水に浸していても全く濡れない もちろん海の中でも呼吸ができる
 この世界はカラフルなもの達で溢れている
 突然巨大なクロムイエローの蛸が空に大量の墨を吐き出して空が真っ暗になった
 辺りは暗くなり強い風が吹いてきて時化になり嵐が吹き荒
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