あじさい/ku-mi
 
傘のほね
しずく垂れるさきっぽ
ぼうっと煙るような空を
みていた

置き忘れた想い
片手いっぱい
こぼさないように抱えたまま

見つからない答えを
いつまで待つの
むらさきの花がわらうわ
急がないでいいよ
傘のしたにいまは居場所がある

ほどけたくちびるの先
そっと
あの人のなまえ
雨に濡れていく

ぬかるんだ言葉たち
いつか雲をぬけて
高く空のうえまで届いたら
ひこうき雲の道しるべ
かえる場所を示すのよ

あたしはそれを見送ろう
たたんだ傘で
宙に弧を描きながら
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