宇宙犬ライカ/たもつ
新聞の文字列と文字列の間を地下鉄は走る
つり革につかまる僕の視界の一番隅で
ラララ、ライカは宇宙の展開図を描くことに夢中
僕たちの声は届くべきところに届いているか
ラララ、ライカ、誰かの小さな咳でその端が小さくロールしている
ラララ、ライカ、僕たちはどこに行くのだろう
地下鉄は走る、文字列と文字列の間を、ララララ、ララララ
こぼれ落ちる音符が躍り始めて
ラララ、ライカ、誰もその歌を歌いださない
ラララ、ライカ、窓の外はあの宇宙にとてもよく似ているのに
そうだよ、大好きな星がひとつも無い
僕たちの声は届くべきなのか
ラララ、ライカ、もう僕たちは宇宙には行けない
ほら、展開図はもう涙と涎でぐちゃぐちゃになって
僕の視界の一番隅で星のように光っている
だからライカ
ララララ、ララララ、早くおうちに帰ろう
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