あたしが捨てた缶の中/猫のひたい撫でるたま子
なかったことにして、アルミ缶の中にポイと捨てたもの
もう二度と缶の淵で手を切らぬよう、上からガムテープを貼る
急いで貼ったので隙間からいけないものが漏れている
水蒸気になり、手で掴めば一粒の液体になり、私の息を止めようと次々やってくる
殺意をもって
もうなかったことにしたから知らないのに
責任という言葉を立ち入り許可証に、
ルールというただのことばに後押しされて
私の首を絞めたって、死にませんし、なにも変えられません
ごめんなさいと思えないので本当の言葉は喋れません
とりあえず、あなたのためにごめんなさいと言いましょう
では、缶の中で安らかにどうぞどうぞ
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