印象派/たね。
 
新緑の歩調に
風のブーケが踊る
朝が来たのなら
花通りの空の
あたらしい風で顔を洗おう

うららかな候は
群青の筆をとり
太陽を描き始めた花の街へ
きみは、ハイカラに萌えて
モダン風

風は港町を抜け
春暖が揺れる
シャガールの絵に
水彩の青をこぼした

海だ

ぼくはテラスに腰掛け
その碧い画布に
一本の白い線を引いてみた

すると
異国の帆船が通り過ぎた―

ああ
こんな午後には
風景の画家になるのも
いいだろう


淡い絵の埠頭で
手招くきみは
やさしい彩色のモネ

峠の花は噴き
海は群青を吸う
ふくよかな光が
まだらに揺れ

春よ

そんな夢見の
絵のなかで萌える
印象派



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