三つの次元/はじめ
 
 無数の雪片の一つが僕の熱を帯びた唇に溶けていく
 綿雪が降りしきる夜 綿雪が降るさんさんさん…という音だけ聞こえる 暗黒の幽冥
 外灯が一本向こうに立っているだけだ
 ここがどこだか分からない
 外灯の下に立って一寸先も見えない暗闇に手を伸ばす
 このまま雪に埋もれて凍えて死んでしまうのだろうか?
 僕はこの空間の先へ歩いていった
 そこは僕の頭の外の世界だった
 僕は白紙の上でキーボードを打っている
 窓の外には春が満ち 桜が舞って君が踊っている
 僕も外へ飛び出して 君と一緒に踊る
 全てがスローモーションに映り こんな世界は現実には無いと感じる
 春の花々が咲き乱れ
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