海を見る。/新谷みふゆ
小鳥はもう飛ばないんだ もう死んでしまったんだ
生き返らせてときみが泣くから
小鳥の背をナイフでなぞった
流れる赤い血を見てふたりはせつなくなれたから
青空の下 海へ向かってる
肺が放出するのは 黒く染まった吐息
赤い液体をきみは燃やし
きみの起伏を滑らかに変える
満ち潮と引き潮がならしていった砂の上
どんな文字を書いてみよう
警告が鳴り 降りた遮断機
電車が過ぎるまでに 途切れたものを繋ぎ合わせよう
空に眼をやれば 波と同じ数だけ鳥の羽根
そこかしこに命の呼吸
全てを包み込むかのように きみは大きく息をした
子供が海へ返す愛は 花びらや小石や
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