ふたり/はじめ
 
 夜はこんなにも静かだ
 僕の知っている人達はみんないない
 もっと言えばこの天球の世界に人間はいない気がする
 宇宙は球体なのだ
 僕は外に出ていつもの草むらで倒れ込んで星を眺める
 プラネタリウムよりも綺麗な夜空だ
 プラネタリウムに入る鍵を持ったまま死んだのは君だ
 だからプラネタリウムの中に入れない
 けどこの夜空が僕の心を清らかにしてくれる
 季節は春 僕はコンパスを取り出して北側に頭を向ける
 北からこぐま座 おおぐま座 うしかい座 しし座 おとめ座だ
 彼らは銀河系全体の平和を詠っている
 時々動いて 死んだ衛星や星などを食べて生きている
 星座を眺めている
[次のページ]
戻る   Point(5)