銀指響/
木立 悟
鏡がふいに斜めを向き
部屋のすみが溶けて明るい
鏡のなかには無色の柱
扉の前には銀の曇
銀はひとり歩き出し
窓を向いては立ちどまる
たたんたたん たたんたたん
素足の時をうたい出す
雷鳴のかたわら
鉄の輪がすぎ
月はふたつ
月をあやす
窓のかたち
とめどない蒼
鏡の上の
小さな空
かけら かけら
治らない星
指をめぐる
砂鉄のひかり
足音は沈み 土を照らす
手を振りつづける
やわらかな群れ
夜をまだらにふるわせてゆく
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