月のように生まれることもなく/たりぽん(大理 奔)
なにげなく息苦しくなる
自由に生きるとわがままで
いい人でいると酬われない
狭苦しい海だね、まるで
しおからいもので満たされて
泳ぐためにも浮くためにも
そして沈むためにも
抵抗や圧力が必要で
もしも生まれ変わったら
もっと素敵な人生を歩むのだと
お母さんを幸せにするのだと
あの日も海の味で
波間に浮かぶ中途半端な
揺らめき映る月のように
あんなふうに漂いたくて
波打ち際を走ってみる
あの突堤まで
砂の抵抗で息が
胸が苦しくて深く
吸い吐く息
あいつを許さないよ
もしも生まれ変わったら
僕がお母さんを
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