風のブブブ/はじめ
 

 思い出せば10代前半の若者3人組がポリバケツの前でヤンキー座りをしながら火遊びをしている 煙草は野良犬が空けた穴に落とされて チラシを燃やしていて 異常なことなのか 僕をじっと見て睨んでいる
 禿げた40代前半の夜の砂漠色のコートの男性がやけに目に止まった
 おでこをハンカチで拭けばいいなと思った 禿げた男性の過ぎ去った後の景色は寂しく冷たかった 人があまり通らなかった 若者3人組もいつの間にか消えていた 煙草の吸い殻とチラシの燃え滓だけが残っていた
 僕は左腕にした腕時計を見た もう遅い時間だろう 僕は右下の空間に煙草の匂いとチラシの燃えた匂いと人々の汗臭い匂いとその他諸々の匂いを感じ捨ててこの場所を後にした
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