言霊/仄
ある日
世界中で一斉に雨が降り始めた
それはずっと降り続き
海は荒れて
全てを押し流す勢いで
世界中の科学者や
偉い人たちが
毎日議論を交わしたけれど
それは一向に解消されなかった
それどころか
雨は日に日に強くなり
信じられない事に海から溢れてしまい
どんどんと街に侵蝕していった
人々は住む場所を奪われて
次々に丘や高台へと逃げたけれど
もちろん場所が足りるはずもなく
毎日争いで人が死んでいった
それでも雨は止む事はなく
まるで地球の表面を全て水で埋め尽くす勢いだった
中にはもう諦める人も出て
船で生活する人や
自ら命を絶つ人もいた
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