おやすみなさい お月さま/ダーザイン
 
その人がやってくるのは
ほんの少し
光のかけらをわけてくれた
下弦の月の白い顔が
空に溶け込んでいく時刻です

おやすみなさい
お月様

インクびんのふたを閉めて
閉じ込めたのは月の光
そのような淡い色彩で
描かれたのは心のかけら

しらみはじめた空の下
飛べない鳥が翼を広げ
曙のコラールが
がらんとした世界を染めていく

遠く明日の方では
見知らぬ平原に
テントを張った旅人が
ぶつぶつ呟きながら
燠火を見つめています
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