穴と手/草野春心
 

  言葉から遠く離れた場所で
  ひっそりと暮らしたい
  すべての知識は巧妙な知ったかぶりなので
  確かに必要だけど欲しくはない
  燃えないゴミに紙一重の才能が欲しいな
  いくつか恋もしたいな
  落書きを額縁に入れて僕は大笑い
  目の玉のネックレスをつけて
  耳の穴に鉛筆を立てる
  体じゅうを嵐が吹き荒れる
  からっぽの僕はだけどそれを感じる
  そして書く……言葉ではない言葉を
  僕は手であればいい


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