黒猫/はじめ
ある日の夜 家の前で僕は丸々と太った黒猫と出会った
黒猫と僕は目が合ってふっと立ち止まった
僕はそのまま無視をして立ち去ろうと思った
けど黒猫は僕から視線を外さず 鋭い眼光で僕を睨んできた
僕は動けなかった 両足を無数の釘で打たれたようになり 全身が固まってしまった
黒猫は不吉な動物だ 昔からよく黒猫を見ると不幸なことが起きると聞かされてきた
心に冷や汗が流れ出す 僕はもしや悪魔の化身に殺されてしまうのだろうか
しかし黒猫はすっと視線を外すと すたすたと暗い夜道を歩いていった 僕は拍子抜けしてがくっと体を傾け 金縛りが解けて車道に飛び出てしまった
黒猫はしばらく歩
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