海を/ふるる
海原に月がひとつ満ちていた
波は立ち上がっては落ちていく
暖かい夜なので淋しい予感はない
浜辺に置いてある椅子は日に焼けて
幼い頃の君はそこに立って遠くの方を
眺めて言っただろう雲があるよ波もある
かもめも飛んでる船もある魚が光ってる
君の肌は日に焼けて潮風があたっていて
しょっぱい味がしてまるで海の生き物
みたいだったよ君はまったくうごく
物にしか興味がなくってその目は
いつまでもきらきらと輝くんだ
海は見ていたよ君と同じ様に
夜疲れて眠ってしまった君に
海
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