性的メガヘルツ/カンチェルスキス
 

   
 

 各駅の到着を知らせるアナウンスが聞こえたら
 女たちはベンチから立ち上がり火のついたタバコを線路に投げ捨てた
 それから停止した電車に乗り込んで
 いちばん隅の三人掛けの席に背中を向けて座った
  どうやって両足首がないのに電車に乗ることができたんだろう
    電車はもうこないの?とガキが聞いたのをもうこないかもしれないと
  若い母親が真顔で答えたから おれは笑った
 電車が動き出すと午後の太陽が反射するレールがむきだしになって
 火のついたタバコのそばで女たちの足首が転がってる おれは
 自分が修道女にでもなったかのような気分になって
 あれは確かに足首だ
 おれが切断しなきゃならなかった
  足首だ
 四つあるから四つの 足 首だ
      精液で濡れてひどく臭ってくる



 あんな女に用はなかったんだ




 


 
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