吟遊詩人のオアシス/はじめ
 
 渺茫としたイエメンの北の砂漠の真ん中にある鬱蒼とした森の奥に
 吟遊詩人達のオアシスと呼ばれる所がある
 世界各国を放浪してきてやって来た吟遊詩人達が集い 豊潤な水が森の奥の湖でこんこんと湧き 吟遊詩人達の渇き切った体を潤してくれる
 なんの為にここに来るのかというと ここには流離して世界中を詩にしている詩人が同じように旅をしている同士達と出会い 語り合い 詩の出来を吟味し合う為だ
 吟遊詩人を志す人達にとって憧憬する場所なのである
 苦しい思いをしてきた同士達はすぐに打ち解け これまでの苦労を語り合い 自分が詠ってきた詩を披露し合う
 ここには不思議とありとあらゆる果物が実っていて
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