土曜日のトンネルを抜けて/はじめ
退屈で憂鬱な土曜日のトンネルを抜けよう
土曜日のトンネルに入ると僕は高い天井の狭く透明な牢に入れられたような気分になり
重力に負けて空虚な思考回路となり何かをしている自分が自分ではないような気がする
その牢では時間が止まっている
時計の針がある場所から動かないのを想像してバテてしまう
千切れた想像は茹でる前の饂飩の束を引き千切ったように見える
それは睡眠や趣味で誤魔化さなければ永遠に続くトンネルだ
しかし切れ目のある正午過ぎの山頂の景色はいつも快晴で良い気分だ
午前中の登りのトンネルが一番キツいのだ
僕は無意識に心に汗をかいている
とても無気力な気分になる
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)