ラーク タール1ミリグラム/高田夙児
 
りと言った

    
    鳥が飛び立つようにいってしまう
    空が青く高く澄んでいた 春霞がとれたら
    梅雨が始まるまでの少しの間 鳥はいってしまうのかもしれない
    
    僕は彼女の軽やかなステップを思い出してみる
    足首につけたきらきらした枷は 空の中で輝くのだろう
    白く羽を羽ばたかせるたびに見え隠れしながら

    黙って
    僕はCの狭い部屋の中で引き出しにたくさんしまってある
    彼女の写真の束を燃やしてしまうことを考えた
    
    Cは言った 彼女が自由であるということは
    僕らも自由だよね 言って煙草をもみ消した
    うん そうだよ 僕はゆっくりと微笑んで言った
   
    彼女を迎えにいってくるよ
    Cはラークに変えた煙草のボックスを持って立ち上がって
    部屋を出て行った 僕はCのベッドにもぐりこんで
    夢をみよう と思った


        
    
戻る   Point(4)