ラーク タール1ミリグラム/高田夙児
りと言った
鳥が飛び立つようにいってしまう
空が青く高く澄んでいた 春霞がとれたら
梅雨が始まるまでの少しの間 鳥はいってしまうのかもしれない
僕は彼女の軽やかなステップを思い出してみる
足首につけたきらきらした枷は 空の中で輝くのだろう
白く羽を羽ばたかせるたびに見え隠れしながら
黙って
僕はCの狭い部屋の中で引き出しにたくさんしまってある
彼女の写真の束を燃やしてしまうことを考えた
Cは言った 彼女が自由であるということは
僕らも自由だよね 言って煙草をもみ消した
うん そうだよ 僕はゆっくりと微笑んで言った
彼女を迎えにいってくるよ
Cはラークに変えた煙草のボックスを持って立ち上がって
部屋を出て行った 僕はCのベッドにもぐりこんで
夢をみよう と思った
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