エスケープ/nm6
に、鳥の日常が重なる。春風がさわる空気中に、見えるのは干してある黄色いタオルが揺れるのと、と、影が揺れる。それは同時だけれど、ぼくには同時だけれど、それは、決してぼくに分かることではない。光のスピードで、影は同時だけれど。そうか。マテリアル、マテリアル。それは、ここにあるという強度だ。ぼくらはドライヴィング。ただそこに留まって、沈んでいくだけのものを置いてゆく。まったくもって稀有なそいつを、笑い飛ばすようなドライヴ感は、知らないフリの強度だ。
ぼくらは、ここにあるという強度だ。
ざわめくならば、閉じていい。
そんなもんは。だ。
知れたもんだ。
戻る 編 削 Point(4)