記憶の森/はじめ
 
 君は森の中で首を吊った
 美しい君が強固な樹木のしっかりした太い枝に荒っぽいロープを巻き付けて
 穴という穴から流れ出る体液 垂れ流す汚物
 下にはそういう溜まりができている
 不気味な色の外殻を持った虫達がその溜まりに集まり貪り食っている
 体中は腐乱して蠅が飛び回り蛆が湧き出て 美妙だった体を食い荒らしている  
今の君は見る影もない 黒のワンピースだけは森の中で優美な異彩を放っている
風光明媚な森の奥は埃が溜まっていて 誰も近寄ることはなく君は粛粛とぶら下がっている
 十字架を背負った森の妖精達や光の玉が君のことで胸を痛めて涙を流し周りで軽やかに踊っている

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