本物だと感ずるリアリティー/はじめ
 
 精神病院には殺風景なイメージがある
 森に囲まれ外界から隔絶された建物 白く何度も塗り直された古い壁 病気が収まっていない精神病患者を入れる隔離された部屋 種類に乏しい木花の庭
 ここは外界から見放されていて 院長も穏やかな性格の為か 逆に精神病院と呼ぶに相応しい所かもしれない
 小鳥は毎朝ご飯を貰いにやって来る 患者は百人ぐらいか ここに入ると外界から忘れ去られる為か 来る者は食料や医療を運んでくるトラックだけだ トラックの運転手もまた 元精神病患者らしい
 ここでは四季は緩やかに変化する それに憧れて容姿端麗の女医がここに転勤してきた
 彼女は結婚をしていて 夫とは別居して暮らし
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