仕方のない未来/なかがわひろか
 
戦争と戦争の隙間で
私は生まれ、死んでいくので
それを平和だと気づくことは
当然ありません

だから暴力に飢えます
だから革命を欲します
無い物に欲するのは
人間の性なのでしょう

いつかまた始まる戦争に
私の子や孫が行くでしょう
けれどそれは未来の話
手の出せない未来の話
それは仕方のない、未来の話

戦争と戦争の隙間に
私は息をして
息を吐いて
それを当たり前と知っています

知らないのは
そこら中に死体が転がる世界
それは腐臭の中で息をすること
地に這いつくばって草を食らうこと

知らない未来で

またそれは起こるでしょう

私はきっとそれを知ることはありません

多くの人がそうであるように
時に人を殺したくなる気持ちを抑えながら
今を当たり前に生きるだけです

(「仕方のない未来」)

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