いい景色みてますか?/山崎 風雅
飛べない鳥は空を夢見る
泳げない魚は海を夢見る
走れないシマウマは高原を夢見る
詩が遠くなった僕は夢を語れない
慌しく時代は僕の目の前を通り過ぎ
怪しげなひげは僕の足をひっぱり
キツネの彼女は僕に荷物を持たす
限りなく詩の匂いから離れた都会の真中で
僕達はいつもすれ違い
言葉さえ残さず
ただ背中を誰かに押されて
一方通行の道をどこに向かうのかさえ知らせれず
とにかく歩いて
ため息一つ落ちた
涙も一適落ちた
愛の言葉は見つからず
明日も蜃気楼の街に向かうしかない
母はいう
江戸のかたきは長崎で
ケンカしたくない
誰からも愛されたい
信用されたい
信頼したい
核分裂していくその先に
楽園は棚の上に隠して
要領のいい人達だけでむしゃぶりついてる
いい景色みてますか?
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