ケンちゃんはカエルに似ている/木棚環樹
 
お母さんに会った。ごく普通の人間に似たお母さんだった。

「うちの子は、蛙みたいに小さいでしょ?だからもう、心配で心配で。学校でいじめられたりしてませんか?早く身長が伸びるように、牛乳とか飲ませているんですけどね、生まれつきの少食で・・。」

と言っていた。

突然、ケンちゃんは死んだ。口とお腹から、小さくなった消しゴム一個と、チョークのかけらが三個出てきた。ケンちゃんの机には、一輪の花と花瓶が置いてあった。この事件は新聞やニュースでみんな知っていた。大島先生は、

「ケンちゃんのお葬式をしましょう。」

と言って、裕二くんに、ケンちゃんの死体が包まった新聞紙を持たせて、みんな
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