吾輩は病人である。病名はまだない。/ななひと
 
。その名は「うつ病」。「うつ病」も発見されるまでは名前のない病気として、私を苦しめた。とにかく怠い。一日中寝ている。寝ても寝ても眠い。起きてもすぐ疲れる。仕事が適当になる。人への配慮がなくなる。人から疎んじられているのに気づかない。気づかないのに人間関係に疲れていると自分で思いこむ。前に付き合っていた彼女の最後の言葉は、「あんた病院行った方がいいんじゃないの」だった。うつ病患者は皮肉を理解しない。私は素直に病院に行った。そこでうつ病とわかった。わかってみるといろいろなことに合点がいった。何故そんなに今まで無駄なことで無限ループで悩んでいたのか不思議になった。病院の先生は三環系(古典的な)の抗うつ剤
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