あたたかいこと/草野春心
 


  空は広いとしか言えない
  流れる時間は惜しいとしか
  どっかにあるかもしれない答を
  探そうとして……また、やめにして



  広い空の下で、流れる時間の途中で
  僕は君と歩いて行く
  手を握るでも見つめあうでも
  ないけどそれは温かいこと



  どうでもいいこと、口にして
  君が笑ってそれに返して
  科学なんかより政治なんかより
  そんなやり取りが僕は愛しい



  日が暮れて少し寒くなったら
  手を握るのもいいだろう
  二人だけの夜の底で
  見つめあうのもいいだろう



  当たり前のこと、当たり前のまま
  ずっと続けてゆけたらいいのに
  時々すごく怖くなるから
  知らん顔して抱きあっていたいな



  朝が来て、君は家に帰って
  僕は一人でギターを弾いてる
  心の外で君が暮らしている
  さびしいけれど温かいこと


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