バス停を通り過ぎて/藤原有絵
真夜中の見知らぬ町を
自転車で走っているのは
即ち、愛に他ならず
思想が違うから
時間をおいた方がいい時もあると思うの
真摯な言葉が
どうぞ真っすぐ届きますように
駆け引きするような
浅はかな関係にはうんざりです
終電の満ちた疲労の臭いも
時代が落とす働き人達の影のある表情も
すべて吸い込んで
それでも君の街へ行きます
君のどんな意地悪にも笑い
最後にも笑っていられるように
私たちは違う人間だから
ケンカだってするし
うまく意思疎通がはかれない時もあるんです
それでいいじゃないですか
君と幸福について
考えていられたら
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