哀憐/黒田康之
 
性愛を投げ捨てるべし春の闇

「うち」という呼称は鳴るか水仙花

梅の花咲き極まりて白き肌

その胸に紅梅の咲く夜を知る

春のバス満員なれば風強し

ただひとつ桜が咲きて汁き夜

肌の香を嗅げば笑うか沈丁花

闇の中ただ体臭のありぬべし

どうしても女であるか雛祭り

哀憐の福寿草など咲きにけり

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