火事場を知るものはいない/hon
フを
険しい義父に突き立てるとき
月は妄念に射ち落とされ
静穏なユーフラテス川を
揺れながら沈んでゆく
幸福なパッセージがひとつ
いななく駿馬の塔から
戯れに添えられる
「モンスター・ボール」
忘れられない夕暮れ
トレンチ・コートの男
歯型だけをのこして
レモンがころがる
多数が幸福なら
街灯は美しい
川べりに列をなして
モンスター・ボールを
黒い皮手袋から
ジルコニアのつま先
モンスター・ボールを
色とりどりの空腹
キャベツの空腹
モンスター・ボールを
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