東京 八ヵ月/soft_machine
 
ではないように思えるほど、個性と没個性は、その両極にも、中間にも豊かだ。
まあ…そんな東京も、大阪も熊本も札幌も、遠い離島や山の頂きまで全部含めた姿が、真の日本ではあるのだけれど。

東京で暮らして、博多に帰る。
博多の空は、懐かしい乱れた姿の雲が、低く飛んでいるだろう。
海の照り返しが、日没した空を長く明るめているだろう。
どこぞのバーで、美人と知り合うぜ。
刺し身も安くて新鮮。
ファーストフードの値段が東京と変わらない、博多。

そばが安くて旨い東京。
夕暮れの後は、空にすぐ影さす東京。
あまりに巨大な東京だった。
お前の姿は混沌が美しい。
その温もりはいつだって優しい。
今に劣らず未来まで賑やかで、喧騒もどことなく静かで孤独だった。
短い間、世話になったな。
もうすぐ、さよならだ。

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